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コラム 2020年7月号

 6月1日に林野庁より、公共建築物の木造化・木質化や外構整備等に対する、過剰木材在庫利用緊急対策事業(令和2年度林野関係補正予算)の公募開始されました。特に、今回は災害対策基本法で指定された指定公共機関が整備する施設も対象になり、多様な民間事業者の事務所、店舗や大型木製遊具、トイレの修繕で木質化する場合にも使える幅広いもので、クリーンウッド法への登録義務などのない取り組みやすい内容になっています。林業・木材事業者を救済するための補正予算だが、これはアフターコロナに向けて地域の魅力アップのチャンスです。これから旅行は国内の安近短が主流になっていくので地元の観光地をどう魅力アップしていくかが大切です。ワーケーション(ワーク&バケーション)やサテライトオフィスなど、首都圏などから長期滞在しながら仕事と休暇を兼ねた働き方ができる場所も求められています。
その中で全国では森林空間を活用した体験施設や木質化と木製の大型遊具を設置した木育施設に人気が集まっていて、木育ということばも少しずつ浸透していることもあって、木育や木質化などについて相談を受けることが増えてきました。

 人気の集まっている施設などは全体が木質化されているかすべての遊具が木材を使っているところがほとんど。これは簡単に導入できるからとプラスチックなど遊具の中に、一部木製のものを導入すると、逆にデメリットが際立ってしまう場合が多いからではないだろうか。今の親世代も木に触れる機会がすくなく、学校でも習わないため、木の特性やどう扱うかなどの経験や知識も乏しく、デメリットに目が行きがちだからです。施設運営者もそういった状況もあり、危険回避とクレーム回避ばかりが先行してしまいます。

「木は傷つきやすいが物を大切にする心を育てる」という、木造の園舎を建築された園長さんの言葉や「メンテナンスを文化に変えていく」という建築士さんの言葉を伝えたい。ただ単に素材を置き換えたものを作るだけでなく、木だからこそ、木のメリットを生かした物や場所を作る、そこには子どもたちの体と心の成長を促すものであるとともに、木を知って使って地域や環境に意識を向けられる人を育てるための工夫が必要です。安全も大切ですが、過度な危険回避は子どもたちの大切な気づきの機会を奪ってしまいます。
遊びは教えられるものではなく、創っていくもの。木という素材はそれができるものであると思っています。

 コロナ禍でピンチをチャンスに変えて、広島県内にも多くの魅力ある木質空間や木に触れ合える施設が増えることを願っています。