コラム 2019年5月号
2019/05/01
「こころに森を育てる」 第1回
「何屋さん?から木の専門家へ」
ツヤツヤの黄緑色の新しい葉っぱや、ふわふわの毛に覆われたモスグリーンの若葉を指先で触るのが好きだ。曲がりくねった細い林道のカーブを飛ぶように駆け下りるのがたまらなく好きだった。父と毎年秋の山でマツタケやキノコを探すのに夢中になった。夏休みはいつも木工所を手伝って(手伝わされ)、きれいなかんなくず集めが趣味だった。そんな私は、今年林産技術士に合格し、晴れて専門家の第一歩を踏み出した。
こう書くとこれまで木材や林業の道を歩いてきたと思われるだろうか。
平成27年冬、突然「技術士受験したら?」と言われ、そのときは技術士と国家資格があることすら知らなかった。
生物工学科を卒業して、食品会社で品質衛生を10年、一場木工所に事務として勤務しながら、プロのイラストレーターとして活動し地元の循環バスにデザインが採用され、起業した人を応援する1日3000名近く集客するイベントの実行委員長や、観光サポートスタッフを10年。よく何屋さん?といわれてきたのだ。それが2012年社長となり、「木育」と出会うことで今まで取り組んできたことが力となり、今の私がいる。木に対する常識がなかったからこそ、できたことも多く、知らないからこそもっと知りたいという思いが私を突き動かしてきたのだ。
木材利用の勉強していくと、川上川下のミスマッチや、木というものが一般の人に取ってどんどん知らないものになっていっている現状を知った。ただ木の良さを伝えていくだけでなく、木や森の未来を担う人材の育成や地域経済にどう貢献していくかを同時に考えることが必要だと気づいた。木の専門家として今までの経験を活かし視野を広く持って、「未来につなぐつながる木育」に取り組んでいく所存だ。森と木と人をつなぐHUB役として。
これから、隔月で木育について、木や森を取り巻くモノ・コト・シゴトについて、徒然なく書かかせて頂くので、どうぞごひいきに。日常ひとコマまんがもお楽しみに。